『心を磨く学校 自分を輝かせたいすべての人たちへ』
著者/西江 あきよ(株式会社アミング 代表取締役社長)
発売日/2024年5月24日
発行所/ディスカヴァー・トゥエンティワン
体裁/200ページ
発売日/2024年5月24日
発行所/ディスカヴァー・トゥエンティワン
体裁/200ページ
販売終了
¥1,430(税込)

アミングオーナー 西江 あきよの著書『心を磨く学校』に込められた想いをお届けする本連載。
今回は、オーナーの西江に本誌掲載の「第2章 心を磨くこと」についてお話を伺いました。
アミングの特徴を語るとき、スタッフからもお客さまからも「雰囲気がいい」という言葉がよく聞かれます。あたたかな雰囲気は、どのようにして生まれているのでしょうか。
今回は、職場や家庭できっと役に立つ、人間関係を築くためのヒントを伺いました。

─地域のお客様やスタッフの間で「アミングのお店は、雰囲気がいい」とよく言われていますが、それはなぜだと思われますか。
アミングが地域の方に愛されているのは、何よりも「人に愛されるスタッフ」がいるからだと思います。
以前、ある病院の看護師さんから「外出できない患者さんが『アミングに行きたい』と言っているので、店内でビデオを撮らせてほしい」とお電話をいただいたことがありました。それを聞き、胸が熱くなりました。アミングがお客様から求められる場所になれたのは、お店の中で、スタッフのあたたかな気持ちが伝わっていたからだと思います。
雰囲気をつくるのは、そこにいる人の心です。お客様から「また会いたい」と思ってもらえるように、仲間同士が「一緒に働けてうれしい」と思い合えるように、私たちは日々、心を磨き続けています。

─職場や家庭で「なんだか雰囲気がよくないな」と感じるときは、どうすればよいのでしょうか。
人間関係というのは、工夫や努力なしには決してうまくいかないものです。なぜなら、人はそれぞれに、価値観が異なるからです。
書籍の中でもお話ししていますが、私はよく、価値観を「ものさし」にたとえます。人は自分のものさしで物事の善悪を判断しがちですが、相手には相手のものさしがあります。自分のものさしだけを見て「相手がおかしい」と思ってしまえば、よい関係を築くことは難しいでしょう。
大切なのはまず、人にはそれぞれ違ったものさしがあるのだと気付くこと。そうすれば、考え方が違っても「どうすれば一緒に仕事ができるかな」「どうすれば相手は喜ぶのかな」という、新たな視点から物事を見られるようになるはずです。
─自分の捉え方を変えるだけで、状況は同じでも、前向きな気持ちになれるのですね。
そうです。私は「人を嫌いにならない」と決めてから、人間関係の悩みがすっかりなくなりました。相手の行動に一喜一憂するのではなく、自分自身が「この人を幸せにしよう」と心に決めて行動することで、きっと何かが変わると思います。
仕事で壁にぶつかったときも、私は自分に「これは、自分にちょうどよい試練なのではないか?」と問いかけます。
よくないことが起きると、「そのせいで」すべてが台無しになってしまったと思いがちですが、あえて「そのおかげで」と言い換えたら、違った続きが見えてきませんか? 壁を乗り越えた先にある新しい結果や、ひとつ成長した自分の姿が見えてくるのではないでしょうか。
私自身、これまでいろいろな出来事がありましたが、自分に与えられたことに無駄なことは一つもありませんでした。そのときは先が見えなくても、自分にできることを一つずつ積み重ねていけば、必ず道は開けるものだと思います。
─仕事をする上で、成長するための秘訣があれば教えてください。
私が「一流」だと思うのは、基本的な仕事を毎日きちんと、手を抜かずに繰り返せる人です。
例えば、アミングでは「商品をまっすぐに並べること」を徹底しています。入社したスタッフにまずお願いするのは「とにかくまっすぐに並べて」ということです。毎日まっすぐに並べ続けていると、日々の小さな変化に気が付くようになります。それを一途に続けた人だけに、見えてくる世界があります。
当たり前のことを地道に徹底できた人は、いつか必ずお客様を感動させる、マジックのような仕事ができるようになります。そうやって驚くほど成長したスタッフの姿を、私は何度も見てきました。

もうひとつ、私が思う仕事のコツを挙げるとすれば「見えないものを見ようとする」ということです。
私は商品のディスプレイがとても得意です。自分で言うのもなんですが、私がディスプレイをした売り場は、まるで魔法がかかったようにお客様が集まり、商品を手にとってくれるのです。そのディスプレイを写真に撮って、他のスタッフが真似しても、なぜか同じようにはならないのです。
例えばマグカップひとつでも、私は「誰が、どんな思いを込めて作ったものなのか」を深く知り、その思いや魅力を伝えるために、思いつく限りの工夫をします。そのカップを素敵だと感じる人の元に届けたいという気持ちが、ディスプレイにつながっていくのです。
どんな仕事でも、表に現れていることはほんの一部にすぎません。表面だけを真似して「できた」と思うのではなく、その背景にある意図や思いにまでしっかりと目を向けることが、仕事を高めるコツだと思います。

─アミングでは、「叱られたらラッキー!」ととらえるそうですが、それはどのような意味ですか。
職場の雰囲気がよいことと、「なぁなぁの関係」は違います。アミングでは、お互いの成長に真剣であるからこそ、ただ仲が良いだけではなく、時には叱り、注意し合える関係を大切にしています。大人になると、叱られる機会はどんどん減ってしまいます。だからこそ、叱ってくれる人はとても大切な存在です。叱られたことを引きずる必要はありません。ただ素直に「教えてもらえた。ラッキー!」と受け止めて、次にどうするかを考えればよいのです。
アミングがまだ1、2店舗だった頃、あるお客様からお叱りを受けたことがありました。「雑貨屋の店員は勉強をしていない。アホばっかりや。商品のことをもっと勉強せんと役に立たんぞ!」と言われたのです。
私は大きなショックを受けました。でも、その方がおっしゃっていたことは、よく考えたらごもっともでした。はっきりと指摘してもらえたおかげで「そうか、もっと勉強しないと喜んでもらえないんだ」「商品が可愛いだけじゃダメなんだ」と気が付いたのです。
そこから私は、商品の知識や技術を深く学び、学んだ内容をスタッフに共有することを始めました。コンシェルジュ制度もつくり、ギフト、ベビー用品、コスメなど、各分野の専門知識を持ったスタッフを育てました。結果的にその歩みが、アミングのサービスの軸となっていったのです。今思えば、あのお叱りは、神の声だったと思うのです。

真剣に仕事と向き合っていたら、さまざまな人に出会います。時には人から非難されたり、叱られたりすることもあるでしょう。でも、それはきっと、あなたが大切なことに出会うための絶好のチャンスです。うまくいかない自分も受け入れて、どうか諦めずに行動し続けてみてください。
ここまで読んでくださった皆様が、どんな困難も乗り越えて、いつか「よかった」と笑えることを、私は心から願っています。